アメリカ型鉄道模型・連載コラム『モデルライフ』 Vol.19
「ヒッチハイクの女性の悩殺ポーズにウインカーを出して、寄っていくスポーツカー」‥ロマンスか、はたまたサスペンスか、とにかく、何か物語りの始まりを想像させるシーンの点燈で、「ビッグゲイト・アヴェニュー」の照明プロジェクトとして今回計画したものはすべて消化しました。
添付の写真は、その全景です。従来、山間部の駅舎や一部の鉱山施設にのみ、侘びしげな明かりが点るだけだったD&GRNとしては、全長わずか2m余りとはいえ、これでも「光のページェント」です。いつの日か、背後の扇形庫にも点燈したら‥と、夢は膨らみます。
明るさの程度、光の色は、ロッキー・ナローの聖地、コロラド州デュランゴの目抜き通りの夜を参考にしました。デュランゴも今では路面をナトリューム燈が照らしていますが、歩道と店舗の明るさは大体こんな感じです。もう一つ、その気で観察したメイン州ポートランドの酒場街の夜も多いに参考になりました。
総体、アメリカの街の夜は照明が、いまの日本に比べると暗いですね。あちら基準で見ると、日本の街路の明るさの方が、むしろ異常ですね。だから治安もいいのでしょうが、今回節電で暗くなった東京の街を見ると、何か懐かしい、というか、本来このくらいで十分じゃないの?とさえ感じます。
駅のコンコースもそうですね。アメリカの飛行場は大体、もっと薄暗いです。地下鉄の駅はもっともっと暗い。あの方が、人の行動は落ち着くのではないでしょうか?
今回の点燈プロジェクトで学んだもう一つ。それは、「建物ごとに照明の色にバラエティテーを持たせた方が、街に拡がり、立体感が出る」ということです。
前半は多分に偶然でしたが、LEDはタイプや銘柄によって、「電球色」といっても青白いのから肌色、きなこ色を思わせるものまで幅があり、さらにオレンジ系のLEDや電球色、黄色のLEDにクリアー・オレンジのエナメルで着色したり、インテリアの壁の色に変化をつけたり、とやってみたら、一軒一軒、さらには階の上下でも、窓から漏れる光の色がすべて異なるようになりました。これだけで不思議に距離感が生まれるのです。
レイアウトばかりは実際に造ってみて、初めて解る事の連続です。