2011.6.6

モデルライフ Vol.8

米国型鉄道模型『モデルライフ』20110605

今週は、そんなことを思いながら、D&GRN鉄道クレメンタイン支線の「プロスペクターズ・クリーク」川床を作っていました。

撒いたのは「本物の砂金入り」サウス・ダコタはブラック・ヒルの砂利です。

拙著「レイルズ・アメリカーナ3」に紹介しました、あの大統領4人の岩壁胸像と、現在北米で唯一、タンク・マレーの走る「ブラック・ヒルズ・セントラル」がある、サウス・ダコタ州ブラック・ヒルとその一体は、かつて無数の金銀鉱山でにぎわったところで、名うてのガンマンにしてギャンブラーであったワイルドビル・ヒッコクがトランブ勝負の諍いから撃たれて死んだデッドウッドも近所です。川という川には砂金を求めてプロスペクター(金鉱探し)が入り込みました。

この砂利は自分で拾ってきたものではなく、観光土産として現地で売られているものです。

ブラック・ヒル観光の基地は、麓のラピッド・シティー。私は2回訪問して、2回とも中心街に聳える史跡ホテル、「アレックス・ジョンソン」に泊まりました。歴代大統領も泊まった由緒あるホテルですが、いまは施設が老朽化している、というだけで、立派な造りなのに、郊外のモーテル以下の値段で泊まれます。

このホテルのすぐ近くに、全米有数のインディアン・グッズの専門店があります。インディアンの衣装や装身具、工芸品からバッファローの毛で編んだマフラー、インディアン意匠の食器、インディアン・パイプの煙草、香草、香木の皮、そして、なめし皮、鳥の羽、ビーズなど、インディアン・クラフトに使うあらゆる材料が豊富に揃っています。

私など、この店に一度入ると2時間は出てこられなくなる、面白い店なのですが、この店で見つけたのが、この砂金入りの砂利でした。一袋$35.00なり。

砂利が35ドルで高いのか安いのかわかりませんが、「必ず砂金が入っている」というのは、夢があって、いいじゃないですか!確かに、砂利の間にキラキラしたものも見え、粒の大きさも、レイアウトにはうってつけです。分量もかなりあり、グラムあたりで比較してみると、日本で米国製などの砂利ものを買うのの2倍ぐらいでしょうか?そのうえ、「産直の折り紙つき」というのがうれしい。袋の裏面には「砂金の洗い出し方」も説明されています。

そして、なによりも、はるばるサウス・ダコタから抱いて帰ってきた、という思い出がパックされています。

「本物の砂金が混じっている川底」なんて、話だけでも、夢が拡がりませんか?その前でお酒のグラスを傾けたり、コーヒーを飲んだり‥というのを想像してみてください。レイアウトって、そういう、夢の広がりをもたらす空間であるべき、というのが私のレイアウト観の要です。どうせ遊ぶなら、大人の詩が欲しいじゃないですか!

私は、酒は大して飲めませんが、それでも「上等の酒、上等のコーヒー、紅茶に釣り合うレイアウト」というのが一つの目安です。「細密」よりも「詩的な香りの高い」ものを作りたいのです。「細密」は、その手段の一つに過ぎません。目的ではないのです。

このところの寒さで地下室も冷え切り、アクリル系の水面材料も硬化が遅く、白濁がなかなか去らないので重ね塗りが捗らずにいささか参っていますが、それでも今から水底にキラッと光るものを見つけては悦んでいます。

「ひょっとして、世界で唯一つ、実物の金が埋蔵しているレイアウトかもしれない」と‥