2014.5.12

アメリカ型鉄道模型・連載コラム『モデルライフ』 Vol.76

L1000339

今日は夕方、英国から来日中の、アトランティック・パブリケーション社オーナー編集者、トレヴァー・リドレイ氏夫妻をD&GRN鉄道にお迎えしました。(撮影;松本ちはる)

彼は英国でナロー・ゲージの専門誌と庭園鉄道の専門誌を月刊で出していて、私よりもずっと年上であるのにもかかわらず、そのほかの月刊、隔月刊を含めると目下5種類の趣味雑誌を世に送っています。彼自身ももちろんモデラーで、英国の庭園鉄道の大会の主催者にもなっています。

私とは6年前でしたか、米国のナロー・ゲージ・コンヴェンションがコロラド州のデュランゴで開かれた時に、コンヴェンション・ホテルから街の外れの業者ショー会場までのシャトル・バスにたまたま二人だけ乗り合わせた言葉を交わしたのが初対面でしたが、彼が日本文化に大変興味を持っていたところから急速に親しくなって、以後、これで3回目の来日ですが、今回、永年の弁護士業を引退してようやく時間のできた夫人も初めて同行しました。

何を走らせて見せようか、昨夜は試走を兼ねての取り合わせ思案に、これまた楽しい時間を過ごしました。

私がつねづね尊敬する、小堀遠州という人物は17世紀初頭、徳川家康、秀忠、家光、三代に仕えた小大名ですが、大名でありながら庭園設計、建築設計に異能を発揮し、また茶道の大家として徳川家の茶の湯を指導し、茶道具の選定から制作も手掛け、生活デザイン全般の開拓者で、歌人、書家としても名を遺し、しかも手ずから道具を持って竹細工で茶杓や花器まで作った、というマルチ・タレントですが、自ら催す茶会ごとに選んだ茶道具の取り合わせから茶室のしつらえ、茶会の後の宴の料理のまで、を記録に残しています。

ゲストをもてなすために出し物のとりあわせを工夫する、という自体がそもそも創造活動なのだ、ということを私は遠州の伝記から学びました。

ゲストをD&GRN鉄道に迎えるときの走行車輛の取り合わせを思案していると、茶会を前にした遠州の思案はさぞ楽しかっただろうな、と想像されます。

結局
一はロック・アイランド鉄道の特急「ロッキー・マウンテン・ロケット」。牽引機は先頭E-6、次位AB-6のEMD製A1A-A1Aディーゼル機重連。

一はサザン・パシフィック鉄道キャブ・フォワード4-8-8-2、2台に、貨車65輛の普通貨物列車。先頭機はAC-7クラス、中間補機にAC-11クラス。

一は朝鮮戦争当時の兵員輸送列車、傷病兵客車付。牽引機はユニオン・パシフィック鉄道4-8-4のFEF-3クラス2トーン・グレー。

ということにしました。

明朝から、大学生時代に美術を専攻して日本の陶芸に興味を持ち、「一度は萩に焼物を見に行きたい」という念願を持ち続けてきたリドレイ氏夫妻を案内して、新婚旅行以来38年ぶりに萩を訪ねます。それから津和野、宮島、奈良、京都と案内して12日に帰京です。

しかし、40年近く経っても、相変わらず萩は遠いですね。「萩石見空港」から萩市内までバスで一時間も掛かるそうです。タクシーですと10000円だとか!それで「萩」ですからね。

いまやハワイ、グアムに行ったことのある日本人より、萩に行ったことのある日本人の方が少ないのではないでしょうか?

もう、照明の下に立つと、じわっと汗ばむようになってきました。レイアウト・ルームで長い時間作業できるのも、とりあえず夏前はあと一月でしょう。今年前半の訪問者レセプションはこれで終わりです。

再開は10月に入ってからでしょう。