アメリカ型鉄道模型・連載コラム『モデルライフ』 Vol.9
先週に続いて、「プロスペクターズ・クリーク」の水流作りを主にした一週間でした。
水流はウッドランド社の「リアリスティック・ウォーター」をベースに、同社の「ウォーター・エフェクト」と、ターナー社の「水生グレインペイント アクアシリーズ クリア」でうねりや渦を作っています。いずれもアクリル系樹脂塗料です。
一番盛り上げが利くのが「エフェクト」、次が「ターナー」、全く盛り上げが利かない代わりに流動性が良いのが「リアリスティック・ウォーター」ですが、硬化して完全透明のなるのに時間が掛かるのも、この順です。
特に、こう寒いと、「エフェクト」は時間が掛かります。8mm程度の盛り上がりを作りましたら、もう10日も経つのに、まだ芯に白濁が残っています。
「やっぱり、冬場の水仕事はきつい!」
白濁が消えた所から、毎日1回か2回の塗り重ねはやりますが、それだけでは1,2分で終わってしまうので、鉄橋に向かって左手、クレメンタイン側の製作も進めています。
ノース・カロライナ州ネラに実在した「郵便局兼雑貨店」は以前に組んだ時には窓枠の色を暗くしすぎましたので、建物の表情にもう少しメリハリが着くよう、明るいレンガ色に塗り替えました。面相筆で域を殺してやりましたが、アクリル塗料ですので、窓ガラスの上にはみ出したときはカラの筆にタミヤのアクリル溶剤X20Aを含ませて拭き取ります。
キットに添えつけの看板、ポスター類を、ウエストン・リンク博物館の図録にある実物写真に似せながら、薄くウエザリングして貼っていきますと、建物が俄然活き活きしてきました。アメリカの建物はやっぱり看板が命を吹き込みますね。
これに気を良くして、周囲の路面、裏手の林も造りました。林の緑は昨年5月の福井恵一郎氏とのヴァージニア1週旅行で、「話の種に」と、小1時間寄り道したノース・カロライナ北部の印象を思い浮かべながら、ウエストン・リンクのモノクロ写真のコントラストの具合も計算に入れて、「ミニ・ネイチャー」の「N用ブナの枝葉」同じく「カシの枝葉」で自作しました。ありていに申せば、樹木として立っている、というより、片身で作って背景に貼り付けました。
まずご覧に入れる写真は「郵便局前の街道とレール敷設を待つばかりの枕木の列」。郵便客車が走行中に「メイル・キャッチャー」のフックで郵袋を持ち去るための郵袋吊りもすでに用意されています。
リンクの写真どおりの位置に駐車している自動車の色も、このシーンに合わせて特に吟味しました。片田舎のシーンでは自動車1台の色でさえ、その場の空気のイメージをガラッと変えてしまうので、様々な色や車種を置いて試すべきで、「有り合わせを適当に」というわけにはいきません。
この場では、萌え立つ緑の鮮やかさを相殺しないためには自動車のカラーは控えめである必要があり、さりとて黒では存在が重くなりすぎる、というところです。